全国23カ所26公演にわたる全国ツアー『LIVE IS“REAL”2013~THE LETTER あなたに伝えたくて~』を開催中の中島美嘉。本題に入る前に、近年の彼女のライブ活動について触れておきたい。2010年秋に、耳の不調を患い、デビュー10周年記念として開催が予定されていた日本武道館、大阪城ホールでのライブが中止となった。翌年春には復帰し、2011年4月からは2年ぶりとなる全国ツアー「THE ONLY STAR」を開催。バンドメンバーも一新するとともに、活動休止中の彼女を支えてくれたファンへの“感謝”の気持ちを伝えるツアーとなっていた。ライブのMCでは彼女の体調を心配するファンに「この通り、元気です!」と答えていたが、限界まで弱音や泣き言を吐かない彼女の体調はまだ万全ではなかったはずで、数公演は延期・順延を余儀なくされたと記憶している。そして、迎えた、2年ぶりとなる本ツアー。結論から言えば、もはや客席からは心配の声もあがらないほど体調は万全で、エネルギーに満ちあふれたステージを見せてくれた。
2つめは、「~THE LETTER あなたに伝えたくて~」の部分である。ハードなファンクロック「PASSION」では<♪生き抜くのが辛いのはアンタだけじゃない>と強く、重い歌声で叫び、「みなさんにお手紙を書いた曲です」という紹介のあとに歌った「LETTER」では、待っていてくれたファンに直接、自分の気持ちを伝えるように丁寧に、心を込めて、訥々と歌い上げた。そこには、リアルな生き様を歌いながら、同時に、みんなの背中を押したいという気持ちが現れていた。
また、ライブ後半のMCでは、『私もこれから10年、20年と走り続けていきたいと思ってる』と語り、涙をこらえるように、瞼を閉じて歌うシーンもあった。彼女の瞼の裏側には、これまで歩んできた13年に軌跡とともに、これから進んでいく道の先にある“確かな光”も映っていたはずだ。「今日もみなさんのおかげで、最後まで心をこめて歌うことができました。また、足を運んでくれたら嬉しいです」という言葉とともに走ってステージを下りた彼女の次のツアーがいまからもう、楽しみでならない。